語ること、議論すること、それが可能になる関係性と場
現在、学びの森ユーススクールではふたつの大きなイベントが進行中です。
一つ目はユースのメンバーが作ったオリジナルグッズ(柳葉魚さんのアクリルキーホルダーなど)をネットで販売してみよう!という試み。
そして二つ目は、7月下旬に開催される「なんたん絆ネットワーク会議」で「居場所のあり方」をテーマにゲストとして話をする…というもの。
今回は先日開催された「絆ネットワーク会議」での試みについて、少しお話したいと思います。
毎年2回開催される「なんたん絆ネットワーク会議」は、京都府南丹圏域で主に不登校やひきこもり支援に携わる行政・教育・福祉の関係者が集まって、「支援とは何なのか?」を中心的なテーマに議論やワークショップをしている場です。
今年のネットワーク会議は「当事者性と制度の限界」がテーマなのですが、ここで当事者が集う「居場所」とその意義は何か、という問いが出て来ました。
そこで、実際に「居場所+α」でもあるユーススクールで起きていることをその場で見てもらう・体験してもらうことを狙いに当事者参加型のグループワークをすることになりました。
ただ、単に居場所に参加している「当事者(ここではユーススクールのメンバー)」に話を聞く、という形では、「支援者(聞く人)-当事者(語る人)」という構図が出来上がってしまい、お互いがその「枠組み」の中での話をすることになってしまいがちです。
実際、「当事者」として何かの集まりで話をする時、人はそこで期待されている役割を無意識のうちに引き受けてしまうものです。私も、元当事者として家族会などで話をするとき、「元当事者然」とした振る舞いを知らず知らずのうちに取っていたり、聞き手が期待するような話を選んでしてしまいがちです。
しかし、普段のユーススクールで起きていること(対話)はそうした支援現場の「当事者と支援者」といった枠組みに囚われない、対話的な関係が肝です。いわば、そこにいる人はみんな「参加者」であり、「対話の当事者」なわけです。
そうした対話的な関係から相互理解や承認関係が生まれ、それがより広い社会関係の土台になっていきます。
それを少しでもリアリティをもって伝えるにはどうすればいいのか……
今回は、ユーススクールの現場で活発に参加者たちが議論したり、そこで出来た関係性が外へ広がっていったりといった、対話的な関係性がいかにして成立しているのか、なぜそれが可能なのか、といった「居場所+α」に必要なものを考えていく、そういった少しメタ的な視点で考えてもらうような場にしたいと考えています。
そのためには、「支援者-当事者」、「聞く人-語る人」という一方的な構図を崩す必要があります。
企画・進行グループでのそんな議論を元に、実際に参加してくれるユーススクールメンバーの意見も取り入れつつ、細かい調整を進めてきました。
ユーススクールからは、「いつものユーススクールとは違うシチュエーション・相手だから、普段通りとはいかないと思う」「それでもグループに分かれて話をする中で、他の参加者の人たちにも対話の当事者として参加してほしい」そんな意見が出てきました。
そして会議当日。
普段とは違う状況での緊張感や、話を聞く・聞かれる関係特有の難しさも感じつつ、普段はあまり深く意識しない「居場所」や「居場所性」について、ユーススクールのメンバーも、他の参加者の人たちもそれぞれの現場を背景にしつつ考える機会になったように思います。
(文:スタッフ足立)
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